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5こころとからだのしくみ 1128

8 身じたく関係
〇身じたくの意義と目的
身支度とは、洗顔、歯磨き、整髪、爪の手入れ、着替え、化粧などのことを指し、外部環境や危険物から身を守る、体温調節、清潔保持などの意義があります。
この他、生活のリズムを作ることや、自己表現の手段となるなど、精神面にも大きく影響します。
〇整容に関する介護
・洗面の介助
洗面には、顔面の皮脂や汚れを落とし清潔を保持するとともに、血流を促進する効果があり、爽快感をもたらします。また、生活のリズムを整えることにも役立ちます。
洗面台での洗面ができない場合は、熱め(40℃前後)の湯でしぼったハンドタオルを利用者に渡し、できるだけ自分でできるよう促し、拭き残しがないよう声掛けをします。 全介助の場合は、本人の意向を聞きながら行いますが、目や鼻の周囲は皮脂がつきやすいので丁寧に行います。 介助を行う際は、目頭から目尻にかけて行うと、感染予防になります。 洗面後は、必要に応じてローションやクリームを使い、皮膚を保護します。

・ひげそり
ひげは、1日に約0.4㎜伸び、日本人の男性では、1日に1回ひげを剃ることが一般的ですが、ひげを伸ばすかどうかや剃る方法は人それぞれ好みが違いますので、できるだけ利用者の希望に沿うようにします。
ひげそりの介助をする場合は、以下の点に注意します。 ・電動ひげそりを使うか、かみそりを使うか、など利用者の好みを聞く。 ・電動ひげそりは、伸びすぎたひげや顔のくぼんだ部分はそりにくいことがある。 ・かみそりを使う場合は、蒸しタオルでひげを柔らかくしてから行い、シェービングクリーム等をひげにつける。 ・ひげそりは、皮膚を伸ばし、傷つけないように細心の注意を払う。 ・電動、手動ともかみそり負けをしやすいので、ひげそり後にはクリーム等で皮膚を保護する。

・爪切り
爪は切らずにいると、巻き爪や爪肥厚など変形の原因となり、指先の動作や歩行の障害になったり、皮膚や衣類を傷つけたりすることもあります。また、爪が伸びていると不衛生になり、爪白癬(爪の水虫)の原因にもなります。
高齢者の爪は、もろくて割れやすいため、力を入れすぎず、切り過ぎないことが大切です。また、入浴(指浴・足浴)後や蒸しタオルを当てた後は、爪が柔らかくなり、安全に行うことができます。
足の爪は、まっすぐ横に角を残して切ると巻き爪になりにくくなりますが、手の爪は、角をなくした方が指を使いやすくなります。
爪切りは、介護職にも認められるようになりましたが、爪や皮膚状態に異常が認められる場合は、速やかに医療職に報告する必要があります。

・整髪
整髪は、頭髪・頭皮の健康維持の他、気分転換や社会性の維持のために大切な行為です。高齢者や障害のある人は、整髪がおろそかになりやすい傾向にあるので、起床時や入浴後、外出時など、適宜観察し、声をかけるようにします。
整髪の介助は、利用者の意向を聴きながら丁寧に行います。一部介助が必要な場合は、できるだけ利用者に行ってもらい、できない部分を整えます。可能であれば鏡を見てもらい、確認しながら行うようにします。

〇口腔ケアの介助
・腔ケアの目的
口腔機能には、咀嚼・嚥下・発音・呼吸などがあり、口腔ケアを行うことによって、これらの機能の改善や悪化を防止することができます。口腔ケアの目的と効果は、以下の通りです。
虫歯、歯周病、口腔粘膜疾患などを予防する
細菌の繁殖を防止し、誤嚥性肺炎や感染症を予防する
口臭や不快感を除去し、気分を爽快にする
唾液の分泌を促進し、口腔内の自浄作用の促進や乾燥を防ぐ
ブラッシングによって、血行をよくする
味覚を保ち、食欲を増進する
腔機能を維持し、嚥下障害等を予防する

・利用者の状況に応じた口腔ケア
口腔ケアを実施する際には、歯や歯肉、粘膜、舌などの口腔の状態だけでなく、全身の状態や精神状態などを総合的に把握して行う必要があります。
高齢者は、唾液の分泌量が低下し、口腔内が乾燥して細菌が繁殖しやすく(ドライマウス)、口臭や歯肉炎、口内炎の原因となります。経管栄養を行っている場合は、さらに唾液の分泌量が低下しますので、丁寧な口腔ケアが必要です。 また、義歯を使用している場合も、細菌が繁殖しやすくなります。
片麻痺の場合は、麻痺側の感覚が鈍く、食べかすが溜まりやすい状態になっているため、麻痺側の洗浄を十分に行います。

・基本的な口腔ケアの方法
口ブラッシング法
歯ブラシを使用して歯と歯肉のブラッシングを行い、口腔内の清掃を行う方法。口腔内の清掃だけでなく、適切なブラッシングを行うことによって、虫歯や週病、口臭の予防が可能となる。

口腔清拭法
急性期など全身的な衰弱の激しい利用者や口腔内の炎症が激しい利用者など、歯ブラシによる口腔清掃が困難な場合に、スポンジブラシや巻綿糸・綿棒、ガーゼなどを用いて口腔内の清拭を行う方法。口腔清掃に比べて歯垢除去の効果は低いが、誤嚥や口腔内乾燥の防止、口臭予防には安全な方法である。

口含嗽(がんそう)法
含嗽剤や水などの液体を口に含み、口をすすいで吐き出すことによって、食物残渣の除去や口腔内の保湿、爽快感を得る方法。  頬を動かすことにより、口腔周囲筋の訓練効果もある。

口腔粘膜の清掃法・マッサージ
口腔粘膜や舌を軟らかい歯ブラシやスポンジブラシ、専用の舌ブラシを用いて清掃する方法。
実施する際は、誤嚥を防止するため、奥から手前に行うことが基本。口腔内が乾燥していると、舌苔の除去が困難となったり、表面を傷つける原因ともなるので、舌の表面を保湿して行う。

口義歯の清掃法
義歯は毎食後はずし、義歯用歯ブラシを使い、流水で洗浄する。義歯の変形や摩耗を防ぐため、熱湯や歯磨き剤、漂白剤などは使用しない。  洗浄後は、割れやひずみを防ぐため、水などにつけて蓋つき容器に保管する。

〇衣類に関する介助
・衣類着脱の目的
衣類着脱の目的は、①気温の変化に対する体温調節、②外部からの刺激から身を守る皮膚の保護、衛生的機能、③日常生活のそれぞれの場面に合わせた快適な生活の維持、④個性を表現し、社会生活への適応機能、などがあります。利用者の好みや価値観、生活習慣を尊重し、楽しみや生活の張り合いが持てるように支援することが大切です。

・衣類の選択
衣類を選択する場合は、以下のような点に留意します。
・利用者の好みや生活習慣に配慮し、身体状況や生活の場面に応じた形状や材質のものを選択する。
・汚れが目立つように、淡い色調の衣類を選ぶ。
・下着には、アレルギー反応が少なく、通気性と吸湿性に優れた、綿や絹のものを選ぶ。
・寝たきりの利用者の場合は、褥瘡予防のため背縫いがなく、衣類を自由に動かすことのできる前開きの寝巻が適している。
・上肢の拘縮や痛みがある場合は、伸縮性があり、袖ぐりの大きな衣類を選ぶ。

・衣類着脱の介助
衣類着脱の介助では、以下のような点に注意します。
衣類着脱の介助での最も重要なポイントは、残存機能の活用と片麻痺の場合の「脱健着患」です。衣類を着るときは麻痺側から着せ、脱ぐときは健側から脱がせるように介助します。実技とともに試験にはよく出ますので、必ず覚えましょう。
一部介助を必要とする利用者の場合は、自分で袖を通せるよう肩口を下げるなど、できるだけ自力で着脱ができるよう、利用者の状態に合わせて援助します。たとえ寝たきりであっても、自分でできる範囲を広げるような工夫が必要です。
部屋を暖め保温を図る他、介護者の手も温めておきます。
和式の寝巻は、右前(左が上)になるように、紐は縦結びにならないように着せます。
下着は、体内からの汗や排泄物、血液、吐物などで汚れます。できるだけ毎日着替えるようにして、すぐに洗濯します。のりづけは、皮膚を傷つけたりアレルギーの原因となるため使わないようにし、柔軟剤の使用も皮膚障害を起こす可能性があるので注意します。
成人が一晩で発汗する汗や不感蒸泄(肺からの呼気や皮膚から自然に蒸発する水分)は約200mlで、ほとんどが寝具に吸収されます。  3~4日に1回程度は、午前10時から午後2時前後の間に日光にあてるようにします。

問題はすべて正解・解説は省略
1 身じたくを整えることは、人が人として社会にかかわるうえでの重要な自己表現である。
2 身じたくの効果として、生活にリズムが生まれる、社会生活の維持向上が図られる、生活の楽しみが生まれる、健康な生活ができるなどのメリットがある。
3 爪は指先を外力から保護する、指を支える、手足の動きを助けるという機能を持っている。
4 頭皮は表皮保護作用のあるトリグリセライドを分泌し、常在菌のリパーゼにより分解され遊離脂肪酸になり、炎症やかゆみ、悪臭の原因となる。
5 口腔には食べ物を摂取する入り口、咀嚼(そしゃく)、唾液の分泌、嚥下(えんげ)、呼吸器としての入り口、発音などの機能がある。
6 歯はエナメル質、象牙質、セメント質、歯髄の組織からできている。
7 食べ物をかみ砕く作業に支障をきたす疾患としてむし歯や歯周病がある。
8 舌の表面にある味蕾(みらい)は、味覚を感じる機能をもっている。
9 舌の動きやはたらきには、舌咽神経(ぜついんしんけい)、舌神経、迷走神経などが関与している。
10 舌苔(ぜったい)は、舌に付着する白い苔(こけ)状のもので舌の上皮に細菌や食べカス、粘膜のカスが付着したものである。
11 唾液(だえき)には食べ物の残渣(ざんさ)を洗い流す作用、消化作用、緩衝作用、潤滑作用、薬物排泄作用、抗菌作用などがある。
12 口臭とは口から吐く息に嫌な臭いがあるものをいうが、その多くの原因は口腔内にある。
13 唾液の中には、消化酵素のアミラーゼが含まれている。
14 皮脂欠乏性湿疹は、皮膚が乾燥し乾皮症と呼ばれる状態に移行し、その一部から湿疹を生じる皮膚疾患である。
15 疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニの寄生による皮膚感染症である
16 白癬は、高齢者によくみられる疾患のひとつで、カビの一種である白癬菌が皮膚に感染することによっておこる病気である。

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